Impression



HELLSING 9巻 - vol.7





挑めるウォルターとアーカード。
全盛のウォルターの強さに圧倒されました。アーカードがおされている!
「闘争の本質」 このキーワードに、少佐の言葉を思い起こします。

「私の狂気は君達の神が保障してくれる」
「君らの神の正気は一体どこの誰が保障してくれるのだね?」(4巻)
「何者かを打ち倒しに来たものは 何者かに打ち倒されなければならぬ」(8巻)

「己が己である」ことは、自分と対立するものによって保障されなければならない。
正反対のものを否定して、はじめて自分が自分でありえる。
生きるということを、肯定することができる。
500年前の伯爵、アーカード、アンデルセン、少佐が、
ここに同轍となります。

アーカードがいうウォルターの反逆の理由が、心を盗んでの真実ならば、
ウォルターは「老い」を恐れ、永遠の象徴のような吸血鬼アーカードという存在を打破することで、
「己」であろうとしたのでしょうか…

このキーワードには、同じ過ちを繰り返し続ける人間の滑稽と哀れがうたわれているようでもあります
宗教戦争、独立戦争、この地上で行われるありとあらゆる戦争行動
すべては自らの存在の肯定のために…。

少年の姿で「ガキの喧嘩」のふたり。
主人と下僕を愛し恋しと語って、(通称「私の物宣言」)ヘルシング執事としての心が残るウォルターの怒りを煽る、
「眠れる子供」アーカードはキング・オブ・チルドレンですね!(笑)



[H19/11/14]


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